50平米の箱庭 【Day.2】 瞼を開くと、清らかさ当社比200%を超えた聖女様の寝顔が吐息が当たるほど間近にあった。痺れた腕の中に、風早巽がいる。眩い朝日が降り注ぎ、透き通るような肌は白く輝いて。すうすう、と穏やかな寝息が擽ってくる。密着した身体はどこもかしこも蠱惑的に柔らかい。
頭を抱えた手で視界を覆い、胸の奥底から吐き出すように深く、それでいて音が極力立たないよう小さく細く嘆息する。
寝室は遮光カーテンにしない主義だ。朝日を取り込むことで、起床時の体内リズムを崩さないようにしている。巽はその点にこだわりがなかったのでこちらに合わせてもらったのだが……こんな恩恵と弊害があるとは。
「ん……」
間近から微かな声が聞こえた。起こしてしまったのだろうか。顔から手をどけてそろりと窺うと、ただでさえ近かったお綺麗な顔が、俺の頬に擦り寄ってくる。
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