となりのあなたへ 大学受験を終えて高校生活も終わりに近付いたある日の夜、なんとなくつけていた自室のテレビから、同性婚が合法化する、というニュースがランサーの耳に入ってきた。
「へー じゃあ、オレとアーチャーも結婚出来るってことか」
深く考えずポロリとこぼした言葉に、一瞬思考が止まる。
「……え? いやいやいや…… え?」
ランサーの恋愛対象は女性だった。アーチャーもまた同じ。(彼女のいた時期があったからそのハズ)
その為、ランサーは自分やアーチャーが同性と恋愛――ましてや結婚するなんて発想はこれまで一度もしたことが無かった。
ランサーとアーチャーはずっとお互いの『一番の親友』で、お互いの『パートナー』の権利は何処かの女性のもの。それがランサー少年の〈普通〉で〈常識〉だった。
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