渇しても盗泉の水を飲まずはじまり
とある日、パルミラでクロードと共に過ごす約束をしていたベレト。
ところがクロードから言伝を預かっていたナデルから「来ないでほしい」と告げられる。何故……と次第に大きくなっていく衝撃を受け、自身に問い、戸惑うベレトだったが、ナデルから直々に「それを調べてほしい」と頼まれる。聞けばナデルでさえもここ数日、彼の姿を見ていないそうだ。
「貴方なら、あの小僧も事情を打ち明けるでしょう」
「ふむ……」
彼のため互いのために取った休暇だ。中身は変わってもそのために使えるのならそうしたい。何の問題もない。
むしろ願ってもない依頼内容だが、一応聞いた。
「報酬は?」
「坊主の思い出話でどうだ? 上手い飯と酒もお付けしましょう」
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