赤司君に胃薬、黄瀬君に病院 黄瀬は大層不機嫌な顔で事務所にやってくると、何故か真っ直ぐに赤司の元へやってきた。
「涼太どうかしたのか?」
赤司は書類に視線を落としていたが、黄瀬の存在に気づき顔を上げた。それとほぼ同時に黄瀬は両手をデスクに付くと、とてもアイドルとは思えない顔で赤司を睨みつけた。
「桃っち、見なかったっスか」
「桃井? 何かあったのか?」
「いいから、いるかいないか聞いてるんスけど」
黄瀬は赤司に詰め寄り、桃井の行方を問いただした。そのあまりの剣幕に、事務所内に居た人間は何事かと振り返った。そして、黄瀬の姿を確認すると、何時もの事かとそれぞれ仕事に戻っていった。
「桃井ならいないよ。必要ならば呼ぶが」
赤司はそんな黄瀬に臆することなく、いつもののんびりとした口調で答える。
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