よく晴れた日に「由乃様、とても綺麗ですよ」
「ありがとうございます」
手伝ってくれた女中達が去り、部屋には一人きりだ。
「これが私…」
由乃は鏡に映った自分の姿に驚きを隠せなかった。白無垢身を包み、整えられた髪と化粧。
自分でないみたいだ。
本日はこれから祝言が執り行われる。
あの人とーーー。
由乃はギュッと目を閉じた。そうでもしないと気持ちが溢れて泣きそうになるから。
ほんのわずかな時間だと思われる。
「馬子にも衣装だな」
ぼそっと聞こえた一言に由乃は朱の入った唇を緩めた。
こんな日にこんな皮肉を言うのはただ一人。
「素直に似合ってるって言ったらどうですか、お義兄様」
「お義兄様ね。お前に言われるのはどうも違和感しかねえな」
「慣れてください」
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