和服の姉と弟「ん……やっぱり、浴衣ってこうやって後ろから手入れられるのが、たまんないなぁ」
夏のある日。弟が実家から浴衣を持ってきたと思ったら、夏祭りに行くでもなくただただ後ろから抱きつかれている。
子供の頃よりもずいぶんと大きくなった弟。
でもあの時からちっとも変わらない熱いほどの体温が、浴衣を身に着けた体をぎゅっと包み込んでいた。
「お姉ちゃんの浴衣姿、本当に可愛い……」
うなじにしつこく唇をつけながら言われても、浴衣なんて見えてないと思う。
けど大好きな弟に触れられながら褒められるのは嬉しくて、つい受け入れてしまっていた。
でも、このままずっとこうしているのも……。
同じく浴衣を身に着けた弟の姿を見たかったし、一緒に写真とか撮りたかったな。
頭に浮かんだ言葉を口にすると、弟は嬉しそうに笑った。
「お姉ちゃんってば。僕にいっぱいキスされてエッチな顔してるのに。証拠写真、そんなに撮りたいんだ? いいよ、このまま撮ろう。それなら、お姉ちゃんが僕のものだって一目で分かるはずだよね」
えへへ、とあどけなく笑いながら耳元に吹き込んでくる。
低く甘いその声に、背中からぞくぞくとした感覚が広がっていった。