キスの日での話デュフォーは人前ではキスをしたがらない、いつもは何も思わない事に今日だけは何故か気になった。
「デュフォーは誰かの前でオレと口づけ出来るか?」
「しない」
あまりにもあっさりした即答に心にダメージを負う暇がなかった、いや…後からじわじわと傷ついた。
「理由を聞いても」
「他の誰かに見せたくはない」
もっともだな
オレもデュフォーは公私共にパートナーだと主張したい気持ちがあれば、この男を他の誰かに見せたくはない…ずっとオレだけがデュフーを求められればいいと思っている。
お前も同じなのか?
「そうか、ならデュフォーが見せたくないならそれでいい」
無理にする必要は無い
「…俺が見せたくないのは」
少し歯切れの悪い言い方をしたデュフォーは、両手でオレの頬を挟んでまるでキスするように顔を近づける。その顔の真剣さにオレは…デュフォーが好きだと浮わついた感情がにじみ出たまま、アイツの形の良い唇が言葉を紡ぐのを静かに見届ける事にした。
「ゼオンが俺のことを好きだと言う顔を見せたくない」
「なっ?!」
「バレているぞ」
お前は頭が悪いなと言わんばかりに目を細められた、でもこれは不意討ちだろうか!
「お前は頭が悪いな」
「言わんでいい!」
クソ!こんなに簡単に振り回されているのにイヤになれない、好きだという感情がバレているのに恥ずかしくはない
ただ、今すぐ余計な事を言う前にキスしてもいいか?