シルバーアッシュから食事に誘われるのはそう珍しいことではない。なにせ彼の衛士にしてイェラグ最高の料理人とも名高い男が、ロドス本艦に勤務しているからだ。であるからしてその日もまた、ああ久しぶりにマッターホルンの手料理が食べたくなったんだろうな、あの男にも存外かわいらしい面があるものだとしかドクターは考えていなかったのだ。
朝から詰め込まれた会議をはしごして、なんとか指定されたギリギリに艦内でカランド貿易へと割り当てられたエリアへとたどり着く。呼吸を整えつつ名を告げれば、今まさにドアの前で待機していましたといわんばかりの爆速で扉が開いた。
「や、やあシルバーアッシュ。ご機嫌麗しゅう」
「変わりはないか、盟友よ」
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