過去編④ てら 僕の周りにはかわいい物がたくさんある。自分の力で集めた、僕だけの宝物だ。周りの人は皆、それを馬鹿にする。男の子はかわいい物を好きになってはいけない、なんて法律はどこにもないのに。父さんまでもが、僕を忌避する。母さんだったら、どうだったかな。
僕の母さんは、僕がまだ幼いうちに亡くなっている。体が弱かったらしい。母さんには不思議な力があった。目に見えない神秘の存在と会話ができた。僕はそれを少し受け継いだのかもしれない、会話をしたり見たりはできなくとも感じることはできた。だからか、父さんは僕に跡を継がせたがった。
―「『神』の使い」の。
「そのようなことでは、神はお前をお許しにならない。」
父さんの言葉はいつでも「神」基準で、父さんが僕を嫌がる理由だって、「神」が怒るからだ。僕の一族は代々「神」に仕えている。僕は「神」のことを見たことがない。それは母さんも、同じだ。
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