珈琲南向き2階の2LDK。
下の階には賑やかな家族が暮らしている。
屋敷か野宿かの生活をしてきた俺達にはそのどちらでもなく丁度良い暮らしだった。
陽の射し込む部屋に起き上がった自分の影だけが伸びて、まだ寝息を立てている竜三の顔を少しのぞき込む。
少し空いたカーテンの、レースの柄が頬に落ちているのをしばらく眺めてから手を伸ばした。
短く揃った睫毛を撫ぜても起きる様子がなかったので、起こすほどの用事もないしと自室に溜め込んだ読み物を取りに行く。
俺があまりに毎晩竜三の寝床へ遊びに行くものだから、自室は倉庫と化していた。
隣にいると構ってしまいたくなるので、そのまま読み耽ることにしよう。知らないうちに竜三が起きていたほうが嬉しい。
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