言霊4 (完) 約束通りの夜8時。KKの自宅の前にきたけれど、インターフォンを鳴らすのを躊躇ってしまう。左手には立ち寄ったコンビニで買った缶ビールとおつまみセット、KKが吸ってたと記憶している銘柄の煙草が入ったコンビニ袋をぶら下げている。空いた右手をインターフォンに伸ばしてはいるが……。
どういう顔をすればいいんだろ……。
会って、昨日のことを謝らないと。そう思ってはいるものの、後ろめたさと気まずさは拭えない。何度も訪れたことがあるはずなのに、今日は目の前のドアが恐ろしく大きく重く感じられてしまう。
ふとコンビニ袋を下げた左腕を上げて時計を確認すると、ここに立ってからすでに数分が経過していた。いつまでもこうしている訳にもいかない。僕はゆっくり深呼吸し、意を決してインターフォンを押した。
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