タイトル未定未熟な愛は言う、「愛してるよ、君が必要だから」と。
成熟した愛は言う、「君が必要だよ、愛してるから」と。
―エーリッヒフロム
坂田と高杉は幼馴染。今は同じ会社の同期。会えば軽口を叩き合い、喧嘩することもある。
坂田は借り上げ型の社宅に住んでいたが、会社と賃貸業者の提携が終了したため、引き続きその家に住みたければ個人で契約すること(ただし賃料は上がる)とのお達しを聞いていなかったため、突然家を失う。
家を失った坂田はひょんな事からとりあえずは高杉の家に居候することになるが、毎晩のように遊び歩く坂田、家での坂田、幼馴染の坂田のどれが本当の坂田か分からなくなっていく。坂田は坂田で高杉の潔癖に近い性観念にイライラを募らせつつ、その興味を自分に引けないかと思い始める。
パズルのピースみたいに、お互いがお互いの隙間を埋められたらよかったのに。
自分で自分を貶めた理由、あるいは他人を許せなかった理由。
やがて行き着く先は―…