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    立海をはじめ、出る人みーんな可哀想な悪ノ娘パロ

    悪ノ王国 概要「さあ、跪きなよ!」
    「テメェも赤く染めてやろうか?」

     これらはかの悪逆非道の黄の王国の若き統治者の発言として有名である。 齢13の若さにして同じく20歳にも満たぬ7人の家臣とともに国の実権を握り、数多の死と不幸を振りまいた悪魔と名高い彼の異常性が伺える台詞だ。

     王子が誕生した頃、国には流行病が蔓延し混乱を極めていた。 王子、7人の家臣ともに病や内紛により両親を幼少期に喪っている。

     王・女王の不在により政治は腐敗し、国は危機的状況に陥った。 王子たちはある意味では国を立て直したといえる。 自分たち以外の家臣をすべて厳罰に処し、膿をあらかた出してしまったのだから。

     事実上の統治者となった王子はしかし、血も涙もない圧政を始める。 重税、粛清、そして侵略。 家臣は時折諌めるような言動もあったというが、王子を止めるまでには至らなかった。

     国内外の緊張が高まる中、決定的な事件が起こる。 黄の王国が隣国であった氷の王国へ、休戦協定を一方的に破棄して侵攻したのだ。 氷の王国の莫大な財を欲した王子の一存であると考えられた。 王子と家臣たちが直々に驚くべき速さでまっすぐ王城へ攻め入り、氷の王と臣下たちは応戦したものの敗北。 この時、親善の目的で氷の国を訪問していた青の国の第二王子の婚約者も殺害されたが、これが黄の王国にとって致命的となった。

     婚約者を突如奪われた第二王子の憎悪は深く、直ちに騎士団の精鋭をまとめあげ黄の王国への出陣を宣言する。 近隣諸国もこれに続き、打倒悪魔のもと手を結んだ大軍勢は怒涛の勢いで黄の国土を飲み込んだ。

     片目と腹心の部下たちを失った氷の王も加わりついに彼らは悪魔の城へ至るが、王子の姿はどこにもない。 最後に残された玉座の間へ青の国の第二王子と騎士団長が飛び込むと、そこには7人の家臣だけがいた。 彼らの言葉にその場にいた者は全員衝撃を受けた。

    「王子なら殺して水路に捨てた」

     捜索の結果、王子の遺体そのものはついに発見されなかったが、水路やそれと繋がる川から王子がよく身に着けていたものが複数見つかった。 中には血が染み付いた衣類もあり、王子の死は間違いないだろうと結論付けられた。

     家臣たちは尋問に対し、特に黙秘することもなく答えたという。 供述はぴたりと一致したりバラバラであったりしたらしく、どの程度の信ぴょう性があるかは今日まで議論が絶えない。 ただ、当時直接話を聞いた者たちの中では、家臣たちが王子を傀儡に悪政を行っていた、いずれ覇権を手にした暁には自分以外を消すつもりでいたと思った者が多かったようである。 ある者の手記には、『悪さえ裏切った真性の下劣、言葉通りの真の悪魔』という記述が確認されている。

     尋問が終わった後も、彼らはかなりの長期間にわたり責め苦を受け続けたと記録にある。 人々の怨嗟はそれだけ凄まじいものだったのだ。 矜恃を打ち砕こうとして思うようにいかず苛立つ声や陵辱を示唆する表現などが複数の文献で見られる。 苛烈な暴力の末にとうとう7人に衰弱が見られだす。 ここまでだと判断した各国の代表たちは、協議の結果ギロチンによる処刑を決定した。

     執行の日は晴天で、刑場はもちろんそこに至る長い道のりまで多くの観衆が詰めかけた。 罵声が飛び石などが投げられたが青の国の騎士の一喝で投石は止んだとされる。 恨みと侮蔑の眼差しを一身に受けつつも死刑囚たちは堂々と断頭台へ向かったと語り継がれ、午後3時、ついに刑が執行された。

     7人の亡骸がその後どうなったかについては、野ざらしにされた、民衆に引き渡され死後も嬲られた、切断されて犬に与えられたなど諸説ある。 まともに葬られたという伝承のひとつもないことからも、人々にどう思われていたかが伺い知れる。

     処刑直前、青の国の騎士団長が言い遺すことはないかと彼らに尋ねている。 これに対して、彼らはバラバラのことを口にしたという。 遺言めいた言葉や憎まれ口のような内容ではなく、『おやつを用意しないと』などといった日常的な台詞だった。 精神が限界に達し在りし日の幻覚を見た、よく言っていた言葉を反射的に言ったなどここも意見の分かれるところだが、真相は闇の中である。
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