ぼくらの共有世界『世界の半分をお前にくれてやろう』
そんな古い言い回し、前ならくだらないと一蹴していた。
ただ、人間、状況が変わると態度や考えも変わるもので。
片方の視界を失った今、オレはどうにも世界の半分が恋しくなっていた。
怪我をしてから数日。やっとこの視界にも慣れてきたが、不便に感じることが多かった。
さっきも右から来たハルカの奴に気付けなくてぶつかっちまったし。
「わ…悪い」
「そんな、僕こそごめんなさい…」
「いや……その、本当にすまん!」
オレたちはお互いに謝りあった。
「…………」
「…………」
そして沈黙が訪れる。
オレたちは互いに互いを避けていたのだ。
オレはハルカの顔を見ることができないから。
ハルカはハルカで、最近はムウと一緒にいることが多かった。
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