【くっつく・朝焼け】「あっ、義勇さんだ!ぎゆうさーん!」
「おい待て、俺に近付くな———」
診察台で身を寄せ合うように座す冨岡義勇と竈門炭治郎。その前には、額に青筋を浮かべる胡蝶しのぶが仁王立ちしていた。
「冨岡さん、私あなたに怒っているんです」
昨夜、義勇が退治した鬼の血鬼術が全ての元凶だった。決して強くはない鬼だったが、頸を斬る直前、煙のようなものを義勇の顔に吐いたのだ。
「炭治郎君。得体の知れない術だから、誰にも会わないよう屋敷にお戻りになって休め・・・と、私はこの男に言ったのですよ。それなのにまったく」
しのぶは貼り付けた笑顔のまま、言葉の端々に棘を含ませる。
どうやら、今回の血鬼術は初めに触れた者同士がくっついて離れなくなるもののようだった。初めに触れた者と限定するのは、この状態の二人に禰豆子が触れてくっつかなかったからだ。
3688