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    キラライ

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    キラライ

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    フォーチュンドール本編41

    フォーチュンドール6章2話クランと雨と凛太郎は川辺を歩いていた。川はそこそこ大きく魚が泳いでおり、その魚の鱗が太陽の光に反射して川全体がキラキラとしている。

    「この辺に小屋があってそこに魔女がいるようだね。」
    「どんな魔女か聞いてこなかったけどねえ、悪い奴じゃねえっていうのはちょっと怪しいけどな~。」
    「怖い人じゃないといいな…あっあの小屋じゃない?」

    3人が歩いていると、少し開けた場所に出てきた。そこには質素な家がぽつんと立っていた。クランがその家の扉をノックし挨拶するが返事は来ない。留守なのだろうか?もう一度同じようにノックするが何も起こらない。近くに外出しているのだろうか?とクランが言うと雨が小屋の高い所に窓かついていることを確認し、バレないように覗けるかクランに確認をとった。そしてクランは雨に体を念力で浮かせてもらうと窓の中を見る。中にはちゃぶ台と、その付近に座る男がいた。つるつるの頭に目は眉毛で隠れており、口の周りには白く立派な髭を携えていた。いかにもおじいちゃんである。人が中にいることをクランが雨と凛太郎に伝えると、雨はそのおじいちゃんが何か知っているかもしれないと、小屋の扉を開けて声をかけた。おじいちゃんがゆったりと雨の方を見ると

    「お客さんなんて珍しいのぉ。」

    と言い、座布団を用意し始めた。

    「いるなら何でさっきは返事してくれなかったんだ。」
    「まぁ雨、そんなに怒らないで。突然すいませんおじいさん。」
    「ほっほっほ。魔女狩りかと思って居留守にしとったんじゃよ。しかしまぁ、よくこんなところに来たのぉ。若いモンが何の用じゃ?とりあえずちこうよれ。ほれ、そこのちっこいの。」

    雨がおじいちゃんに手招きされ、クランもここは機嫌を損なわないようにと雨の背中を軽く押す。雨がおじいちゃんの隣に座り、クランと凛太郎がちゃぶ台を挟んでおじいちゃんの向え側に座った途端

    「ふぎいぃぃ!?」」

    突然雨の声がし、クランと凛太郎はすぐさま雨の方を見ると、雨はおじいちゃんに殴りかかる。しかし、その拳はあっさり受け止められる。どうやら座った際におじいちゃんが雨のお尻を触ったらしく、雨はおじいちゃんに怒鳴り散らかした。

    「こんのっ!変態クソジジイ!」
    「ジジイではないぞ。おじぃじゃぞ?おじぃと呼ぶのじゃ。」
    「んな事どうでもいい!セクハラしやがって!」
    「にしてもいい腕じゃのぉ~。」
    おじぃが雨の拳を抑えた手とは反対の手で抑えている雨の腕を揉む。雨は動揺し、腕を引こうとするがおじぃががっちり掴んで離さない。

    「おわぁ!?この!この!クラン助けろ。」
    「すごい!雨は初対面の人とこんなに仲良くできるんだね。」
    「…え?」
    「はぁああああああ!?」

    凛太郎ですらさすがにそれはないよと思う発言の後、雨は念力でちゃぶ台をクランに投げつけた。

    「クランのバカ!」
    「ほほほっ。若いのぉ~元気が一番じゃのぉ。」
    「とにかく離せ!まったく…ここに魔女がいるって黒猫から聞いてきたんだけど、今どこにいるかわかるか?」
    「信楽から聞いたのか、それなら魔女狩りではなさそうじゃな。魔女なら目の前におるぞ。」
    「はぁ?ここにはあたしたち3人とジジイしかいないだろ。」
    「もしかして、おじいさんが魔女だったり…」
    「お、正解じゃぞ茶色いの。儂が魔女じゃ。」
    「なんだよ!魔女って女じゃないのかよ!」
    「突然なるものじゃからのぉ。それに猫もなるのじゃ、そういう名称がつけられているだけで男でも魔女はおるぞ。」

    雨は衝撃の事実に困惑していると、クランと凛太郎は本題に入る。クランの体にマナコアを入れること、魔法武器に使えそうな素材を集めることについて。おじぃがクランのマナコアがないことについて聞くと、凛太郎は肩を跳ね上がらせた。凛太郎は事情を話し、既に魔導書の件は終わっていることも話す。するとおじぃはマナコアを体に入れることはできると話す。しかし、おじぃが言うにはおじぃ自身の力が凄く強いため、クランの体で耐えられるかわからない、そのためその技を雨に覚えさせたいというのだ。

    「なぁに、覚えれば簡単な事じゃ、これが出来たら相手の魔力にダメージを与えたり、ツボを押して仲間の魔力をあげたりすることもできるようになるぞ?」
    「なるほど、あたしの力で何とか出来るならさっさと教えてくれよ。」
    「まぁ、魔法武器の素材も集めているんじゃし、この辺で採れるきれいな鱗の魚と滝の近くにある赤い木の実をたくさん持ってきてくれたら教えてやろう。」
    「なんだか、ゲームのクエストみたいだね。よし、雨、凛太郎行こうか!」
    「そうだね。」

    こうして3人は魚と木の実を取りに行った。クランや凛太郎の魔力、雨の念力などを駆使してたくさん取ってきた。

    一方、幸と将信と零子の3人は洞窟内を探索していた。零子の雷魔法の明かりを頼りに、魔力のある鉱石を将信が探し、カーマインとミウが発掘作業をしていた。他の人形達も見つけた鉱石を運ぶ手伝いをしていた。

    「作る武器は雫の分でしょうし、これだけあれば十分でしょう。」
    「そうだな。余分に持って行ってもいいかと思ったが、荷物が重くなるな。」
    「さて、戻りましょうか。」
    「待って…?」

    幸が振り返ろうとすると、零子が何かを警戒し始めた。どうやら、零子は途中から他の人間の気配がすることに気が付いたらしく、その足音がこちら向っているというのだ。だからと言って下手に奥に行って出られなくなっても仕方ないと言い、幸は来た道を戻ることにした。零子は幸の近くを歩き、将信もそれについていく。グレーラも心配になり、幸の近くでいつでも魔法が使えるように構えている。そして戻る方向へ行くと、何者かの影が見えた。その姿に幸は見覚えがあり、体を震わせる。将信も咄嗟に幸の前に立ち警戒した。零子は恐る恐るその人に話しかけた。

    「誰…ですか?」
    「私は、藤宮鯆。そこにいる尼波に用があってきた。」
    「零子、足止めして。」
    「え!?」

    零子が訳も分からないまま返事をした瞬間、鯆の横に土の壁がつきあがり、その外側を将信と幸が駆けていく。しかし、鯆は逃がすまいと左手に持っていたなぞの玉を幸と将信の方に投げた。それは中にもやがかかった水晶玉のようなもので、地面に落ちた瞬間、周辺に霧がかったと思えば、そこに5体ほどの魔物が現れ、2人を足止めしていた。零子も臨戦態勢に入り、剣で鯆を攻撃するがサイボーグとなっている右腕に防がれる。将信も足止めしてくる魔物に対し、地属性魔法で対応。幸と人形達もそれぞれ魔物と対峙する。しかし、魔物の動きと相性が悪く、将信は3体の魔物と戦っていたが、1体が地の中に潜り、取り逃がしてしまった。一方、幸の相手をしていた魔物も動きが速く、幸は苦戦を強いられていた。零子も接近戦は苦手であるため、ひとまず鯆との距離を置くが、その瞬間、幸が追い詰められ、零子よりも鯆の近くまで来ていることに気付かず、鯆はその隙を見て幸を攻撃した。零子は幸のところへ助けに行こうとするが、その時に地に潜っていた魔物が零子の前に現れ、攻撃を始めるのだった。追い詰められた幸に鯆はさらに攻撃を仕掛ける。

    「お前は父親から俺の事は何も聞いていないようだな。」
    「知らない…何をしたというの?」
    「本人に聞いてみろよ。今、会わせてやるから…」

    鯆が幸にトドメを刺そうとした瞬間、魔物の一体が鯆を攻撃した。

    「な、なぜ…私が…」

    完全に不意をつかれ、大ダメージを負った鯆は目を見開きぐったりする。幸はその隙を見て逃げようとしたが空中から黒いモヤが現れ、そこからいかにも死神の見た目をしたおぞましいものが現れ、鯆を連れ去っていった。

    「おやおや、生身の人間には魔物を操作することはできないようだねぇ。仕方ない。」

    死神のような何かがそう言って消えていく。幸は何が起きたのかわからず、ぼーっとしていると周りの魔物を倒した将信たちが幸を心配し、手を差し伸べた。零子がさっきの人は何者かと将信に聞くがその話は帰り道ですることにし、幸の応急手当てを行い、帰るのであった。

    続く
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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