お姫様抱っこがしたい「お姫様抱っこさせて」
「はぁ?」
水町が突拍子もないことを言うのは日常茶飯事だが、それにしてもな言葉が聞こえてきたので、雲水は思わず付けていた部の活動記録から目を上げた。
「もう一度言ってくれ」
「お姫様抱っこさせてほしい、って言った」
聞き間違いではないようだ。
「どういうことなんだ…」
「俺さ、外国語はドイツ語取ってんだよね。そんで同じドイツ語取ってる奴らで学祭でイベントやろうってなってさ。そしたらサッカー部の奴がテレビでヨメ運びレースってのを見たって言ってて」
「ヨメ運び…?」
「奥さん抱えて走んだって。それを俺らもマネして100メートル走しようって話になったんだよ。でもみんながみんな彼女がいるわけじゃないし、彼女が良いって言うかわかんないしさ」
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