酒飲み🥓🧀導入部分「今夜、飲み歩きしねえか?」
とホルマジオがした提案を、プロシュートは断らなかった。恋人になる前から、ホルマジオとプロシュートは時折二人で飲みに行っていた。しかし今回ホルマジオが提案したのは、飲み歩きだと言う。最初の店では食事をし、次に別の店でのんびりと話を…という飲み方を提案してきたのだ。ギャングで、暗殺を生業とする身では、表立ってデートというわけにもいかない。プロシュートはホルマジオなりに恋人らしいことをしようと考えたことを微笑ましく思ったものの、それをおくびにも出さなかった。下手にいじって「やっぱりヤメよう」とヘソを曲げられても困る。
「イイぜ」
と短く応えるに留めた。
そうやってプロシュートとホルマジオは度々「夜の飲み歩き」と称したデートをするようになった。大抵は二三軒で、必ず最後にはこのバーに辿り着く。そこは無口なバーテンダーが一人で切り盛りしている店で、客の入りが少ないせいか酒も肴も待たずに出てくる。何よりホルマジオとプロシュートの家のちょうど中間に位置していたのだった。それまての店では仕事やその日に起こった笑える話や、自分たちの待遇への愚痴をしていたが、閉店間近のこの店に辿り着く頃にはお互い口数は少なくなっていた。そうやって穏やかな沈黙に身を委ねていると、ホルマジオが
「なあ」
と口を開く。内容は全く中身も意味もないものだ。
「胸の大きな女と尻の大きな女、自分がなるならどっちがいいか?」だの、「露出が高いのと露出は低いがボディラインが出ているの、どっちがエロいと思うか?」だの、まるでガキのようなその話題だが、それでもホルマジオの楽しそうな様子が、プロシュートは嫌ではなかった。
「なあ、プロシュート。聞けって」