Buon Compleanno!5月1日
誕生日というものは誰にでも平等にやってくる。人によってはその特定の日が1年に1回巡ってくるわけではないけど、それでも平等に年を取るのは変わらないのだ。とはいえ1歳年を取ったとて、朝起きた時の景色が変わるわけではない。
平日のど真ん中、円子令司はベッドに寝転んだまま、テーブルの上の時計を見上げた。まだギリギリ午前と呼べるような時間帯。個人事業主の良いところは、仕事の進捗さえ間に合えばある程度日程に融通が利くところだろう。なんとなく、マルコは今日と明日をフリーにしていた。世間はゴールデウィークのただ中なので、さしたる不都合もなかった。一瞬昼過ぎまで寝てようかという考えが頭を過るが、思い直して起き上がる。スリッパをすべらせるようにして歩きながらダイニングに向かうと、テーブルの上にラップをかけられた味噌汁とハムエッグの乗った皿がおいてあった。
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