Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    オルト

    どうしようもないものを投下

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 178

    オルト

    ☆quiet follow

    83日目の時のネコチャンが見ているタイカケ(両片想い)

    いつも通り、お気に入りの場所でお昼寝をしようと思ってやってきたら、今日は先客が。ここのおうち? に住んでいる、タイガくん。と、カズオくん。木の下で向かい合って並んでる。
    「あ、あー……」
     口をパクパクさせたかと思ったら、きゅっと結んでしまうタイガくん。カズオくんは黙ってタイガくんが喋り出すのを待っているみたい。
     そう言えばタイガくん、この間「カズオに大事な話をするんだ」って教えてくれたわね。
    「お、れ……」
    「うん?」
    「……っ!」
     カズオくんが首を傾げると、タイガくんはまた口を噤んでしまった。あぁ、じれったい。きっとタイガくんは、カズオくんに「好き」って伝えたいのね。わかるわ。だって、いつもタイガくんがお話してくれているんだもの。
    「タイガきゅん、どうしたの? なにか、言いにくいこと?」
    「いや、その、なんつーか……」
    「タイガきゅんらしくないにゃあ」
     カズオくんは優しく笑って言った。確かに、その通り。でも、カズオくんはタイガくんをせかすわけでもなく、ただ黙って待っている。優しいのね。もしかして、タイガくんが何を言おうとしているのかわかってる?
    「俺、カズオが……」
    「おれっちが……?」
    「……」
    「……」
     流れる沈黙。物音を立てられる雰囲気じゃなくて、アタシは少しも動けない。でも、このままここで見守っていたい。
    「や、やっぱなんでもねぇ!」
     タイガくんはそう叫ぶと、ぴゅうと建物の中に入って行ってしまった。カズオくんは、キョトンとした様子で立ち尽くしている。
     それからアタシに気付くと、優しく笑ってその場にしゃがんだ。
    「こんにちは。タイガきゅんのお友達だよね?」
    「にゃあ」
     カズオくんはアタシが逃げ出すと思っているのか、距離を保っている。タイガくんのお友達から、逃げたりしないのに。
    「タイガくん、何が言いたかったんだろう? キミ、知ってる?」
     あれ?
     カズオくんは心底不思議そうな顔をして、タイガくんのお部屋の方を見上げた。てっきりカズオくんはタイガくんの気持ちに気付いているんだと思ったけど、違うのかしら?
    「前にもお話しした猫ちゃんだよね? 僕、さっきちょっと期待しちゃったんだ。タイガきゅんも僕のことすきなのかな、って」
     そう! そうなのよ!
     私は必死に鳴くけれど、カズオくんには通じない。
    「えへへ、すっごくドキドキしちゃった。でも、本当になんの話だったんだろう? キミ、知ってる?」
    「にゃー!」
     正確にはホントの所は知らないけれど、絶対告白よ!
    「あーあ。ホント、タイガきゅんってわかりやすくてわかんないにゃあ」
     そう言うカズオくんの表情はなんだか幸せそうで、恋ってすごいな、なんて思ったり。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺💖💖☺☺☺👏👏❤☺👍💓💕💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064