早朝、まだ寮生は誰も起きていないであろう時間帯に起きるのは、俺の習慣。簡単な仕事と勉強をこの時間にすると、一日頭が冴えて良い。普段は一人静かに過ごす時間なんだけど、今日は早朝からお客さんがなだれ込んできた。
「カケル、かけるぅ……」
「あぁ、もう、どうしたのタイガきゅん……」
タイガがグズグズ鼻を鳴らしながら、俺にしがみついてきた。尻尾を出して俺の脚に絡めてくる。雁字搦めしてどうするつもり?
「う~っ」
唸り声をあげ、爪を立てる。ヤバイ。このままじゃ虎のタイガに押しつぶされちゃう。
「タイガきゅん、落ち着いて。ね、どうしたの?」
そっとタイガの身体を撫でながら言うと、タイガはふーっふーっと深く呼吸した。それでも、尻尾や腕に入る力は緩まない。二人でドアの前に突っ立ったまま、時間は過ぎていく。
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