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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    22世紀蕎麦屋の成人タイカケ

    「うわぁ~! 風つよ~!」
     目を細めて、カケルは楽しそうに言った。砂埃や舞い上がる落ち葉でよく見えないけど、きっと綺麗な顔で笑っている。桜並木の間を並んで歩いていると、楽しそうな声を上げた高校生の集団が俺たちの横を駆け抜けていった。
     ふっと風が止んだのと同時に、カケルは立ち止まって彼らの方へ振り返った。
    「タイガくんも最近まであんな感じだったんだよなぁ」
    「いつの話してんだよ……」
     俺が高校を卒業したのはもう五年も前の話だ。それなのに、カケルはしょっちゅうつい最近のこと見たいに言う。俺が高校生の時のこと、中学生、小学生、幼稚園の頃の話もそうやってする。俺が物心ついてないことのことも。カケルの中で俺は、「あの頃」のまま止まっているのかも知れない。
    「ちっ」
    「あれ? どしたの? タイガくん」
    「べっつに。カケルにとって、俺っていつまでも子供なんだと思って」
    「え? タイガくんはもう大人でしょう? お酒だって飲めるし、免許も取ってるじゃない」
    「そういうことじゃねぇよ」
     先に歩き出した俺に、カケルが続く。いつだって一歩……いや、何歩も先の未来を歩いているカケルと並んで歩くなんて、出来ねぇのかな……。
    「ね、本当にどうしたの?」
     俺の前に回り込んで、困った顔して俺を見るその顔は、やっぱり今でも俺より少し高い位置にある。キスをするにも、少し背を伸ばさないと届かない。
     高校を卒業して、はれてカケルと付き合うことが出来たけど、なんだかあの頃と変わらない気がする。
    「俺、彼氏になったのにさ、扱い昔と変わんねぇじゃん。俺、まだ本当の意味でカケルを振り向かせられてねぇの?」
    「……タイガくん」
    「…………」
    「……ぷっ、あはははは!」
     俺は真剣に悩んでるのに、カケルは心底おかしそうに笑う。なんだか相手にされてないみたいじゃん、これ。
    「タイガくん、あのね」
     周りに人がいないことを確認してから、カケルは俺を抱きしめた。
    「か、カケル!?」
    「扱いが変わってないのは、タイガくんが僕を振り向かせられてないんじゃないよ?」
     ぽんぽんと、子供をあやすように俺を撫でるカケル。この手の温かさは、小さいころから変わらない。小さいころから、いや、きっと生まれる前、前世があるならそのころから、どうしようもなく好きな手だ。
    「僕はね、あの頃から……ううん。もしかしたら生まれるずっと前、きっと前世から、タイガくんに惚れてる。だから、ずっと変わらないだけだよ」
    「っ……!」
     俺はバカみたいに単純だから、その言葉で嬉しくなってカケルを強く抱きしめた。子ども扱いだって、なんだって、もうどうでもいいや。こうして一緒に居られるなら、なんだって構わない。
     それに、本当は、こうしてカケルに撫でられるのが今でも大好きだから、な。
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    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ。初夜まで道のり通そう。タイガきゅんとお付き合いを始めて早三か月。そろそろ、キス以上のことがあってもいいんじゃないかと思っているんだけど、全然そんな気配はない。俺が一生懸命それらしい雰囲気を作っても、タイガきゅんには全然効いていない。ベッドに座って寄りかかったら、「眠いのか?」なんて聞かれるし、じっと上目遣いで見つめたら「何ガン飛ばしてんだよ。怖くねーけど」とか言われるし、二人きりの部屋で服を脱ごうをしても「暑いのか?」だって! 意気地がないのか、純情すぎるのか……。そりゃ、俺だってキスだけでもすっごくドキドキしちゃうけど……!
     いったいどうしたらタイガきゅんはその気になってくれるだろう? いっそ、正直に先に進みたいと言うべきか? いや、そもそもタイガきゅんはこの先を知ってるの? 俺だって最近調べて知ったのに?
    「うーん……どうしたもんかにゃ~」
     ネットの海で自分と同じ状況の人を探しても、ぴたりと一致する人はいない。それでも、恋人に仕掛ける方法はいくつか見つけられた。
    「何事もものは試しだよね」
     俺は「準備」をすべく、引き出しに仕舞っていたいたローションとゴムを手にトイレへと向かった。

    「ねぇね、タイ 1207