「パンくん! 見て見て!」
「あ?」
カケルの嬉しそうな声がして声を上げると、ふわふわのアフロに花が数本刺さっていた。新しいギャグのつもりならウケないだろう。普通に可愛いから。周りの奴らはクスクス笑ってるけど、気にしない。
「どーしたんだよそれ」
「なんかね、劇場に届いてたお祝い花あったじゃん? あれがもうそろそろ枯れそうだから撤去したんだけど、まだ元気そうなお花が合ってね~、スタッフさんがくれたんだ」
そう言えば、劇場の改装工事完了のお祝いどこかのテレビ局から祝い花が届いてたな。なんか最近見た花だと思ったんだ。カケルは満足気にニコニコして言るけど、それ、遊ばれてね? まぁ可愛いから良いけど。
「どう? コレ、ステージの上でもやってみようかな~? 何か新しいギャグに出来ないかな?」
「無理だな」
「え~、なんで?」
「……面白くねぇから」
素直に可愛いから、とは言えなかった。けど、二人きりになった時にこっそり本当の事を教えてやってもいいかもしれない。