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    532文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ(大人)

    「手」
    「え?」
     並んで歩くタイガくんが、ぽつりと言った。さっきまで黙っていて、どうしたのかな、と思っていたところだった。
    「手がどうかしたの?」
    「手、繋ぎたい」
     雑踏に溶けてしまいそうな声でタイガくんは言った。
    「え、えと」
     勿論、構わない。けど、なんでわざわざそんなことを……? ただ手を取ってくれればいいのに。
    「ダメか……?」
    「いや、ダメじゃないよ! 繋ご!」
     そう言って手を差し出すと、タイガくんは恐る恐るといった様子で手を取った。少し骨ばっていて、自分のものより大きい手は温かくて優しかった。
    「聞かないでも、繋いでくれていいのに」
     歩き出しながら言うと、タイガは少し困った顔をして答えた。
    「だって、俺たち……もう大人だろ。子供のころは、こうしてよく手を繋いでもらってたけど、流石にこの歳で手繋ぐの、カケルは嫌かな、って思って……」
    「えぇ、そんなわけないじゃん! それに、手を繋ぐのに大人も子供も関係ないでしょ?」
     僕がそう言うと、、タイガはホッとした表情を見せた。可愛いなぁ。大人になったけど、こういう表情はあの頃の面影がある。
    「じゃあ、これからは勝手に繋ぐ」
    「うん、そうして。僕からも手、繋ぎに行くから」
    「おう」
    「遠慮しないでいいんだよ、だって僕たち、恋人になったんだから!」
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    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563