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    多々野

    @watari_hk

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    多々野

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    キャロルとAPHO主人公
    ラブコメ的なSSです

    APHO3部が来るとき清書しようと思って放置してたやつだけどもうそのままあげちゃう

    ##小説

    あのなあ、今までは……セントフォンテーヌに来るまでは、別に何とも思ってなかったんよ。でも、任務でいろいろあってから、今はちょっとええなって……。だって先輩、けっこうカッコええとこあるねんで。まあ、任務中に何度も危ない目に遭うたから、吊り橋効果ってやつかもしれへんけど。別にええやん。吊り橋効果から始まる恋やっても、ロマンチックやろ?

    そんなことをぼうっと考えていたお昼過ぎ、ちょうど拠点にはキャロルと先輩と二人しかいなかった。彼はカウンターの向こうのソファに腰かけて剣を磨いている。
    「せ……」
    普段はなんとも思わない沈黙なのに、今は破るのにすこし勇気が必要だった。それでもなるべく、何気なく、いつも通りに声を出す。
    「先輩、帰ったらショッピング付きおうて」
    やっとの思いで投げたひと言に、先輩は顔を上げもしない。
    「なんで俺?」
    うわ……。いや、この反応は分かっとった。めげたらあかん。
    「なんでって、ええやんか。どうせ暇やろうし」
    「暇ではない」
    「って言うけど、いっつも訓練ばっかしとうやん。休みの日は遊ばなあかんで!」
    先輩は肩をすくめた。ううん、ええと、ここからなんて言おう。内心の緊張を悟られていないことを祈りながら、次の台詞を口に出す。
    「ほら、こんなに一緒に頑張ったんに、帰ったらぱったり会わんくなるんも味気ないってゆうか。せっかく仲良うなったんやし、ぱーっと遊びに行こって言うてんの!」
    それに、天命の部隊再編とかで、第二小隊もこれからどうなるか分からない。任務以外で会える機会を今のうちに作っておかないと、先がないと思ったのだ。

    「それなら、隊長も誘う?」
    ぎくり、肩が強張る。いやいや、この返事も予想の範疇。隊長ごめんなさい、隊長も好きやけど、今欲しいのはデートの約束やねん。
    「隊長は……忙しいやろ。休日何しとんのか知らへんけど、全然聖フレイヤにおらへんねんで」
    「ふうん。でも、ファッションのことならライルのほうが」
    「チャラ男とは趣味が合わへん!」
    「荷物持ちならティミドが頼りに――」
    「先輩っ!!」
    ぱん、とカウンターに両手を突く。
    嫌なら嫌だとはっきり言ってほしかった。キャロルがきっと睨みつけると――先輩の目は笑っていた。
    「――冗談。いいよ。俺とキャロルの二人だけな」
    声色はいつもキャロルをからかうときのそれで、琥珀色の瞳はいたずらっぽく細められている。
    キャロルはぽかんとして、わなわなと震えた。
    「先輩、まさか、最初からわかってて言うて……、この、…………もおーーーー!!!!」

    キャロルの怒号と先輩の軽い笑い声が、トタン小屋によく響いた。
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