蝶葬と工房のグレムル深夜1時を過ぎ、もう既に私が居る階の明かりは殆ど消されている中、私は未だ終わらない仕事に取り掛かっていた。
全ての業務処理があと何時間で終わるかどうかはもう考えなくなっていた。
終わらせてもまた別の人間から仕事が増やされるのだ。
数える事に意味を見出す方が難しくなった。
「……」
不意に、何だか妙にオフィスが寒く感じて、少しだけ肩を回した。
血行不良が原因だと思ったのだ。
回した腕を再びキーボードに伸ばした時だった。
「生きていく為にはここまで働かなきゃいけないのか?」
「……?」
頬を両手で挟まれ、上を向かされると……いつもと雰囲気の違うグレゴールが私の顔を覗き込んでいた。
「働いて、働いて……その先に望む物はあるのか……?」
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