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    よーじ

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    よーじ

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    テルウォr1人ワンドロ(?)
    夏なので汗だくのウォロ

    時空の歪みで拾った石とその辺の使えそうな草とちょっと変な形してるカラクリ。さて今日はどれの値を下げてどれを法外につり上げて売りつけようかと思案しているとさっそくカモが通りかかった。
    「テルさん!」
    「あっ、ウォロさん、こんにちは!」
    「いやあ今日も今日とて暑いですねえ!暑さも盛りということで、今日も良い品入ってますよ!まずはコレ、このカラクリを見てください!何に使うかわかりませんが必ず役に立つこと間違いなし!というよりこんなカラクリテルさんしか使いこなせないでしょう!どうです?これ一つ買うとなんとジャジャーン!草も付いてきます!ジブン手ずから採集した草ですよ!これはタダでいいです。そしてこれらをお買い上げくださった暁には!秘密の石を見せて差し上げます。これは売る気がなかったんですが、まあテルさんになら見せてもいいかな、なーんて....」
    ウォロは口から生まれた赤子のようにとうとうと喋り、ブンブンと人差し指を振りながらさり気なくテルとの距離を詰めてその手を握る。
    「いかがですか?」
    憂いを帯びたように眉を下げ薄い唇を左右に引いて僅かに微笑む、童貞殺しのアルカイックスマイルを浮かべた。
    「あっ、あの...」
    「はい!」
    「石もいいんですが、ちょっとこっちに...」
    テルはキョロキョロと辺りを見回し無人のボロ屋の陰にウォロをいざなった。
    「おや、こんな人気のないところにジブンを誘い込んで一体何を...」
    「ウォロさん、水飲んだ!?」
    「は?」
    「最後に水飲んだのいつ?」
    「えっ...と、何の話です?」
    「いいから!」
    強い口調で迫られて、ウォロは自らの記憶を辿る。そういえば村を出てからまだ一度も水筒を口にしていなかったかも。といってもまあ、一時間ほどしかたっていないのだが。
    「一時間前くらいですかね!」
    「あぁー、やっぱり...ちょっと来て!」
    テルにぐいぐいと引っ張られて半ば強引に荒屋の中に連れ込まれる。
    「テルさんなんなんですか今日は...」
    「はいこれ!氷入ってるから冷たいよ。飲んで!」
    「え?」
    テルに手渡された水筒を勢いで受け取ってしまったが何が何だかわからない。水筒とテルを交互に見比べていると「熱中症!知らないだろうけど俺のいた世界じゃ毎年それで人がたくさん死ぬんだ。今年のヒスイは猛暑だから、ウォロさんそんなに暑そうな格好してたら絶対倒れちゃうよ。だから飲んで」
    どうやらテルは善意100%で言っているらしい。それにしても過剰に心配しすぎではないか。
    「商会服、こう見えても夏服なので通気性はいいんですよ?」ウォロは笑うがテルは一歩も譲る気配を見せない。
    ウォロは仕方なく警戒しつつ水筒の中身をほんの少し、口に含む。
    「...なんか酸っぱいししょっぱい...不思議な味ですね」
    「ポ◯リをクラフトしてみました。塩とレモンと水です。熱中症には水だけじゃ不十分なんですよ、塩も摂らないと...ってウォロさん」
    テルの水筒を飲んだ瞬間、ウォロは自らの身体の異常を初めて認識する。
    喉が渇いていたのだ。あれこれと夢中で考えながら歩いていたから気づかなかった。ウォロはふらふらと荒屋の上り框に座り込み荷物を捨てるように背から下ろした。
    「あの.....もう少しこれもらってもいいですか?」
    「もちろんです。全部飲んでください。いつもより顔色が悪かったんでもしやと思ったんです...やっぱり体調悪かったんですね...」
    「ん、ありがとうございます」
    テルの言葉に礼を述べるや否や、ウォロはゴクゴクと水筒の中身を飲み干す。気がつけば水筒を全て飲み干していて、すると途端になんだか頭がぐぁんぐぁんと音を立てるように回り始め、身体が鉛のように重くなっていた。
    「あ、なんだか身体が変.....ちょっと....ここで休みます...行商はまた後で...」
    言い終わる前にテルによって素早くウォロの荷物から敷物が取り出される。目を瞬いているうちに「ちょっと動けます?」とテルに介護され、敷物の上に連れて行かれる。
    「服、緩めますね」
    「あ....」
    断ろうとしたのにテルの手は素早くウォロの商会服のエプロンを外し、その下の繋ぎを緩め、その下のタンクトップにまで手をかけている。
    「やだ」
    「は?」
    「やです、触らないで」
    「えっ、あっ、ごめんなさい!違うんです、熱中症の時はこうして服を緩めて楽な姿勢を取るのが重要で、そのだから、へっ、変な意味は全然ありません!!」テルは顔を真っ赤にしてブンブンと顔を横に振っている。
    「ちが...」
    「へ?」
    「臭いから....」
    「ん?」
    「あせ、」
    「ああっ!」
    テルはようやく合点したとばかりに頷いた。
    「ウォロさんそんなこと気にしてたんですか?大丈夫ですよ、男同士ですし、夏場に汗臭いのなんて普通ですよ。俺だって汗かいてるし」
    ウォロはなけなしの体力で首を横に振る。男同士だから気にしないだとか、そういう問題ではないのだ。それが同僚や上司ならば問題ない。だが目の前にいる子どもは神に選ばれた特別な子なのだ。この子を利用してプレートを集めさせるのがウォロの第一目的。だから絶対に嫌われたくはなかった。それにウォロは曲がりなりにも美意識が高い。きれいで良い匂いのするお兄さんを普段から目指して努力しているのにたった一時間の油断で自らのイメージを崩すなんてそんなことは受け入れられなかったのだ。

    「汗臭いの、恥ずかしいので、ど、どっか行っててください」
    言ってからなんだかこれじゃあ、祭りでせっかく浴衣を着たのに汗かいたからってスキンシップ嫌がってるみたいだなあ、と思ってハハ、と力無く笑った。

    「うーん、ウォロさんは嫌かもしれないけど...」とテルは困ったように笑って「汗臭いウォロさんってすごく人間っぽくて好きだな」と呟いた。呟いてから恥ずかしいのか顔を赤らめてアハハ、と頭を掻いている。
    アナタ気持ち悪いですよ、そういうの。
    口先まででかかった言葉をなんとか飲み込んだウォロは、「テルさんの意地悪」と言ってみた。
    「汗そのままにしてると良くないんで拭いてあげますね!」
    テルはウォロの意志を丸ごと無視したまま屈託のない笑顔で答える。引く気の微塵もないテルに、あるいはこいつ、もしかしたら変態なのかも、とウォロは邪推した。
    本当のことがわかるのはまだ少し先の話だ。

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