「え、お前生徒会だったわけ」
あまりの衝撃に、せっかくつまんだソーセージを取り落としてしまった。
「学芸委員長やってた」
「お前が生徒会の学校、大丈夫?」
少し本音を出しすぎた。ソナタはあからさまに眉をひそめ気を悪くしたことを示したが、発言を追及されることはなく、彼も自分の弁当のオムライスをすくった。
「まじで優等生だったんだわ」
今もだけど、と付け加える彼を適当にあしらう。それならその破天候さはなんだというんだ。本当に優等生だったら、俺が被る迷惑は激減するだろうに。
「生徒会とか雲の上だわ。たとえばなにしてたの」
喚いても仕方がないと、普通に疑問だったことを訊ねてみる。
「俺ん中学さ、生徒会室の隣が音楽室でさ」
出だしから話が逸れそうだが、そのまま様子を見る。スプーンを揺らしながら少し遠くを見ているソナタは、きっと思い出を掘り起こしている最中だ。
「会議抜け出してさ、吹部見に行ったり合唱部のピアノ弾いてたりした」
「馬鹿じゃん」
「だって会議進まなさすぎて暇だったんだもん」
彼にしては多めにすくったチキンライスを大きく開けた口に運びながら、ソナタは不貞腐れる。
「つか、ピアノ弾けるの」
口の中のものを飲み込むまでの妙な時間を挟み、ソナタは短文で答えた。
「当然」
なにが当然だ。俺はお前のことヴァイオリン馬鹿としか捉えてないんだから知るはずもない。なんか弾いてよって言いたいが、そういうの言うやつだるいとか聞いたことあるからちょっと憚られる。卵焼きを食べた。
「弾いてやろっか」
「まじ?」
顔を上げて眼前のイケメンと目が合ってから自分の勢いに気づいた。耳の辺りに熱が溜まる。ソナタは意地が悪そうに笑っていた。