「おれ、明日から新しいバイト始めるんだ」
そう言ってブレが見せてきた服に俺は言葉を失った。何かの間違いではないのか、と理解不能な頭から声を絞り出してブレに問うと、嘘じゃないよ、と真面目な顔で返ってきた。
嘘だろ。
ブレが手にしていたのはいわゆる『逆バニー』と呼ばれているキワドイ衣装。これを着なければいけないバイト先って何なのだろう。ブレに聞くと「まぁ、そういうとこ」と濁された。勤務時間は夕方から深夜にかけてらしいので、俺の想像は当たっていると思う。
「ブレ……正気か?」
「もちろん」
俺はドアの向こうから空か時が「ドッキリ大成功〜!」と看板を持って現れてくるのではないかと気配を伺った。しかし人が待機してそうな気配は全くない。ドッキリであればどれだけいいか。真面目なブレがこんな衣装を着るバイトを選ぶに至った思考が俺にはさっぱりわからない。
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