ブルーシートと君の温もり その夜、霞ヶ関のとある居酒屋の個室で、神永新二はほとほと困り果てていた。
「んふふ……いい胸板ぁ〜」
先程から、ワイシャツ越しに胸にベッタリくっつき、しきりにそこを撫で回して来るのは神永のバディ、浅見弘子だ。
神永が浅見弘子と出会ったのは2ヶ月前、何故か防災庁舎の屋上で目を覚ました時の事だった。慣れ親しんだ様子で接してくる彼女の事を、神永は全く知らず、それどころか他の禍特対メンバーの接し方も自分が最後に接していた時よりも遥かに和やかなものだったので、とにかく混乱したのを今でも昨日の事のように覚えている。
しかし、そんなものは自身がウルトラマンという巨人となって禍威獣や外星人と戦っていたという事実に比べればさして大きな問題では無かった。あまりにも現実離れした数々の話しを理解し、自分の中に落とし込むまでかなりの時間を要したが、その間、バディの浅見はただただそんな神永を近くで見守り、時に彼女なりの少し変わったやり方で激昂し、職場復帰までの道のりを共に歩んでくれた。
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