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    maimai_kizaki

    @maimai_kizaki

    R18系のやつはこっちに載せます( 'ω'👌)

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    maimai_kizaki

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    小ネタウラカンss①、昔見たboketeのシリーズで好きだったやつをタンタンにして欲しいなと浮かんだss。語り手は今回🛷町くん視点にしました。

    付箋の使い方「反町さん。つかぬ事をお聞きしますが、タンタンに一体何を吹き込みましたか?」

    午後の開口一番、俺の元に突然と訪れた香坂は端的にそう言い放った。
    手を後ろで組み無言で佇んでいる様子は一見いつもと変わりない。けれどそこから一切微動だにせず、眉間が時折とピクついている様子からまあまあご立腹と言った所か。

    幹部それぞれに与えられた空き部屋のフリースペース、そこで次の戦いにむけた策を練っている最中で唐突に言われた言葉の意味を探り始めた事でせっかく考えていたプランは全て抜け落ちてしまった。
    それはそれで良い。
    けれども如何せん、目の前で未だに秘めた怒りを顕にしている香坂から言われた、タンタンが絡んでるであろう案件に俺も関与しているというのは皆目見当もつかない。

    (この場合は問い掛ける方が最適か、さっきから気になって仕方ないしな)

    考えても仕方ない。判断した俺は先程から珍妙な顔面となっている香坂にそのまま思った事を問い掛けた。

    「…悪いが、タンタンに何かを吹き込んだ記憶はないし俺が関与しているというのは皆目見当もつかない。それにあんた、その顔は一体どうしたんだ?」

    俺の返答を受け、顔面に大量の付箋が貼り付いた香坂は苦い顔を浮かべていた。部屋の外では何者かが廊下を激しく走り抜ける音が聞こえる。遠くから聞こえた雄叫びに近い絶叫は、恐らく鳳崎の物だろう。

    一体、俺のそしらぬ所で何が起こっているんだ。そう思った折、突然と部屋のドアが大きく開かれた。

    「あ、反町こんな所に居たー!ってあれ?何で香坂兄ちゃんまで居るの?」
    「タンタンか」
    「全くこの子はもぅ…」

    事の発端であるタンタンが俺達の前に現れてから外の喧騒は治まった。先程からけたたましく走り回っていたのはこいつで間違いないだろう。丁度いい、俺がこいつの気まぐれなイタズラに関与しているという汚名返上はさせて貰わないとならない。
    俺は状況をあまり良く理解していないらしいタンタンに単刀直入に問い掛けた。

    「香坂さんにお前の妙なイタズラに俺が関与していると言われている。弁解しろ」
    「え?!だって反町、今朝いってたじゃん!!」
    「人の顔面にありったけの付箋を貼り付けろ等と言った覚えは無い」
    「違うって!これ!これの使い方かた教えてくれたじゃん!!」
    「付箋の使い方?」
    「言った!大切で忘れたくない物には貼り付けると良いって!!」

    タンタンはそう言ってどこから持ってきたのか、手に持ったままの使いかけの付箋の束を俺に突き付けた。

    「……ああ、あの時か」

    そこまでこいつが言い切った後、俺の中でひとつの思い当たるやり取りが脳裏を過ぎった。



    『反町何してんの?』
    『手帳に付箋を貼っている』
    『付箋?』
    『ああ、大事な事は忘れないよう目印を付けておくと後で確認する時に早いからな』
    『へぇ…』



    今日の早朝、たまたま俺がスケジュール管理を行っていた所に鉢合わせたタンタンに言ったやり取りを俺はようやく思い出した。
    確かに自身の付箋の使い方を俺はこいつに語った。しかし、何故それが人の顔面に貼り付けるに転換したんだ。

    「タンタン。確かに今朝、俺は付箋の使い方を話したな」
    「でしょ!!」
    「けれど俺は顔面に貼ればいいなどとは言っていない。何故、香坂さん達に貼り付けたりした?」
    「だって何があっても忘れなくないんだもんっ!!」
    「は?」
    「大事な事は忘れないように目印を付けたら良いんでしょ?だったら香坂兄ちゃん達の事は何があっても忘れたくない!」
    「だから他の奴らにも付箋を貼り付けまくったのか?」
    「だって仲間じゃん!!」
    「……」

    タンタンはそこまで半ば捲し立てるように言うと肩で息をしていた。先程の言い分を要約するに、忘れたくない程の大事な仲間だから忘れないよう付箋を貼りまくった、そういう事だろう。

    タンタン行動の意図をようやく理解したらしいのか、それを聞いた香坂は紙まみれの顔で少しだけ困ったような、含み笑いを浮かべていた。
    まあ、今の言い分から俺が悪意的にこいつに何かを吹き込んだという疑惑は解けたんだろう。

    「お前の言い分は分かった。だが、人の顔面に付箋を貼り付ける使い方は合っていない。今すぐ外の奴らのも剥がして説明してこい」
    「えぇーっ、頑張ったのにぃ」
    「お前がやった事だろう」
    「タンタン、忘れない方法なら他にもありますよ。後で集合写真でも撮ってアルバムにしましょう。他の皆さんにも誘うついでに説明しに行きますよ」
    「……っ、はーい」
    「反町さん、疑ってしまいすみませんでした。後で写真撮影の時にまた声を掛けますね」

    それではまた。俺への疑惑の解けた香坂はタンタンを説得するとそう言い残し部屋を去っていった。

    「…面白い事もあるものだな、しかし大切な仲間か。今まで言われた事は無かったな」

    この組織に来てからは予想だにしない珍妙な出来事に見舞われる事が多い。
    だが、悪い気はさほどしない。

    「これからも学びに繋げていきたいものだ」

    俺はようやく静かになった室内で作戦の立て直しを行う為、新たにスケジュール帳を開いた。
    手にした付箋に【本日未明、後で集合写真撮影有り】と目印を沿えて。


    END





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