山茶花「胡蝶。聞いてもいいだろうか」
「はい、なんですか煉獄さん」
「音信不通とはどのくらいの期間でいうものだ?」
「……はい?」
定期診察を終えて隊服を整えながら真顔で尋ねる俺に、胡蝶しのぶは不思議そうに目を瞬かせて小首を傾げた。
ここ二ヶ月半、まったく連絡を取れなくなったのは風柱の不死川実弥である。平素から多忙な我々ではあるが、これまでは鎹鴉を通してのやり取りはできていたし、任務の合間に鬼の情報交換をすることもしばしばある。現に宇髄と伊黒には先月会ったし、甘露寺とは食事も共にした。本部ではこれから任務に向かう時透と立ち話をしたし、蝶屋敷に来れば胡蝶がいるし、先程は俺と同じく健診にやってきた悲鳴嶼さんや冨岡とも挨拶を交わしたのだ。それなのに、不死川とはすれ違うことすらない。連絡がないのは無事の証とはいっても、さすがに消息が気になるところである。
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