メンヘルダイバー 第1話「百足」 カッカッカッカッ、と何かしらが叩きつけられるような連続音。その合間を縫って厚底ロングブーツの足音。
「さあ!!本日も開ギァッ」
ゴッ!!と激しい音を立ててドア枠に頭をぶつけた男が痛みに後退り、そのままついさっき登ってきた階段を転げおちた。とても書き表せないような鈍い音が遠ざかっていき、僅かな静寂。そしてまた先ほどよりも激しく速い連続音。
「っう……!!また!私の!道を阻んだなこの板キレ風情がッ!開業だッ!」
日本人にしては大きめな人影がドアを蹴る動作をするが、出るのはカコーン☆といった軽々しい効果音のみである。
先ほどから文章を音塗れにしているこの騒がしい男。
褪せた金髪のおかっぱ頭、首に下げた拡大鏡付きゴーグル、キッチュな模様の落書きされた白衣とまるで棒切れのような義足。校舎を歩く学生としては非常に面白おかしい格好の、身長百九十センチ+厚底ブーツの青年。この男こそが
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