baby,baby 5ちょうだい、ちょうだい、ちょっとだけでいいから
底の方にほんの少しだけ中身の入ったカップを持って、ずっとそんな風に泣いていた。
ずっと泣いて涙が乾いた頃、カップを隠すようになった。
いらない、いらない、いらないからとらないで
そんな事を言いながら、暖かなものをいれようとしてくれる手を求めていた。だから、少しでもそんな手があれば、無くすまい、離すまいと必死になった。それでも奪われるのを知ったから、怖くなって新たな手は望まなくなった。
いらないの、いらないの、あっちにいってよ
また泣き出していることに気がつかないまま、小さな子どもは、今でもずっと訴えている。声にしないまま、蹲ったまま、頭上で静かに待つ手を拒絶しながら。
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