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    流菜🍇🐥

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    TF主ルチのホワイトデーの裏話。ルチの贈るアイテムに独占欲が表れてたらいいなと思って書きました。

    ##TF主ルチ
    ##季節もの

    ホワイトデー ルチ視点 その日、僕はデパートを訪れていた。
     青年の付き添いではない、僕一人の用事で、である。僕の立場を使えば、人を使って目的を果たすこともできるのだが、あえてそうはしなかった。こればかりは自分で選ばなくては、意味がなくなってしまうと思ったのだ。
     変身能力を使って姿を成人した男のものに変えると、ネクタイ専門店へと足を運ぶ。壁一面にずらりと並んだ布地を眺めながら、あの青年に合うものはどれかを考えた。
    「何かお探しでしょうか」
     店の前をうろつく僕を見て、店員が声をかけてくる。一人にしておいてほしいのに、こういう店の店員は必ず声をかけてくるのだ。不機嫌を圧し殺しながら振り向くと、淡々と言葉を告げる。
    「知り合いへのプレゼントを探してるんです。自分で選んだものを贈りたいので、気にしないでください」
     はっきりとした物言いに、相手は少し面食らったようだった。言葉を失う姿を見て、少し優越感を感じる。相手はすぐに気を取り直すと、マニュアル通りに頭を下げた。
    「失礼いたしました」
     店員がいなくなると、僕は改めてネクタイへと向き直った。普段は気にしたことなどなかったが、こうしてみるとデザインも豊富である。取引相手の男たちが、やたらと柄に拘るのも分かる気がした。
     あの青年に渡すものだから、あまり派手なものは似合わないだろう。身嗜みに気を使うことの無い、平凡な男なのだ。スーツだって着慣れていないし、パーティも不慣れな様子である。それでもネクタイを選んだのは、僕からのメッセージだったのだ。
     ネクタイというアイテムは、スーツを彩るアクセサリーである。世間では紳士の嗜みとして語られ、プレゼントにも最適とされているほどポピュラーだ。僕は正確に把握しているわけではないが、贈り物としてのメッセージ性もあるらしい。しかし、僕がこのアイテムを選んだのは、そんな単純な理由ではなかったのだ。
     ネクタイというアクセサリーは、首の周りを通して巻く。シャツの襟をぐるりと周り、首を絞めるように留められるのだ。それはまるで、彼の首を絞めているようである。実際に、殺人事件の凶器がネクタイだったりもするくらいなのだ。自分の贈ったもので相手の首を絞めるなんて、生殺与奪の権利を握っているみたいで優越感がある。
     あの青年は、僕が自分の力で見つけたタッグパートナーだ。僕のお気に入りであり、僕だけの所有物である。他の誰にも触れさせるつもりはないし、命を奪うなんてもっての他だ。彼の首を絞める権利を持つのは、僕だけが持っているのだから。
     しばらく棚とにらめっこをして、ようやくいくつかの候補に絞りこんだ。青年に贈ったスーツのデザインを思い出しながら、色調が合うものを探していく。時間をかけて、ようやく選んだひとつを手に取った。
     レジへと向かい、ギフト用のボックスに入れてもらう。ご一緒にとネクタイピンを勧められたが、既にイリアステルの紋章の入ったものを贈っていたから断った。青年のフォーマルな衣装は、全て僕が用意してマネジメントしているのだ。頭から爪先までの全てを、僕の色で染めなければ気が済まなかった。
     受け取った箱を抱えながら、僕は一人でほくそ笑む。ホワイトデーにネクタイを贈る人間は珍しくないだろうが、ここまで物騒な意図を秘めているのは僕だけだろう。店員は絶対に意図に気付いていないし、渡されただって気付くとは思えない。ネクタイである理由を知っているのは、この世で僕だけなのだ。
     この贈り物を渡した時、青年はどんな反応をするだろう。まだ見ぬ反応のことを考えると、イベントも楽しいものに思えるのだった。
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