表情 洗い物を済ませると、リビングのソファに腰を下ろした。防水素材で作られた座面が、僕の重みによって沈み込む。特に目的はないけれど、ゴールデンタイムのバラエティにチャンネルを合わせてみた。今夜はお笑い番組が放送されているようで、芸人の賑やかな声が響いている。
ぼんやりとテレビを見ていると、ルチアーノが近づいてきた。ソファに座る僕に視線を向けると、何かを考えるように動きを止める。隣に座るのかと思っていたら、僕の目の前に歩み寄ってきた。
そのまま、ルチアーノは僕の膝の上に腰を下ろす。見た目より軽い体重が、僕の膝へと伝わった。向かい合うような体勢のまま、僕たちは至近距離で見つめ合う。彼の意図が掴めなくて、少し恥ずかしくなってしまった。
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