眠る 自分の家にたどり着くと、僕は真っ先にリビングの窓を確認する。ルチアーノが帰っている時には、ここから明かりが漏れているのだ。防犯意識が人間よりも薄い彼は、いつもカーテンを開けっぱなしにする。日暮れの遅い季節であっても、外から光源が見えてしまっていた。
室内の様子を覗き込むと、僕は中の様子を確かめる。カーテンは全開に開いているが、中に人のいる気配はなかった。今日はまだ、ルチアーノは帰ってきていないらしい。玄関から室内に上がり込むと、リビングの電気をつけてカーテンを閉める。
買い物の片付けを済ませても、彼は帰ってこなかった。六時をとうに過ぎているから、いつもなら帰っていい頃合いである。暗闇の世界が苦手な彼は、日が暮れると僕の家へと足を運ぶのだ。とはいえ、彼にも用事があるから、遅くなる日も珍しくはなかった。
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