友だち 目的の座標に着地すると、周囲から賑やかな声が聞こえてきた。妙に甲高くて耳につくこの声は、未成熟な子供たちの叫び声だ。路地から抜け出して角を曲がると、大通りの先に小学校の校舎が見える。ランドセルを背負った無数の子供たちが、校門に吸い込まれるように歩いていた。
そんな子供の群れに紛れるようにして、僕は校舎へと続く道を進む。四方から飛んでくる耳障りな声に、思わず顔をしかめてしまった。そんな僕のすぐ隣を、一回りは小さい男児が駆け抜けていく。周囲の風が巻き込まれて、三つ編みにした髪が微かに揺れた。
「おはよう」
「おはよう、ルチアーノ」
校門を抜けると同時に、見慣れた子供たちが声をかけてくる。僕の周りに集まってきたのは、同じクラスに在籍する生徒たちだった。周囲を取り囲むように陣形を定めると、口々に話を持ちかけてくる。適当に相槌を返しながら、僕たちは教室へと歩を進める。
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