コーヒー 冷蔵庫の扉を開けると、ブラックコーヒーのペットボトルを取り出した。スーパーで棚に並べられているような、安価な一リットルサイズのものである。氷を入れたグラスに注ぎ入れると、それはカラカラと音を立てた。涼しげなその音色に、夏の訪れというものを感じる。
コップをカウンターの上に置くと、今度はキッチンの引き出しを開けた。ガムシロップとフレッシュを取り出すと、蓋を開けてグラスの中へ投入する。黒一色に染まっていた液体は、すぐに薄茶色のカフェオレになった。一口飲んで甘さを確認すると、さらにガムシロップを追加する。
グラスを片手に机へと戻ると、ルチアーノが呆れたように僕を見た。激甘コーヒーを流し込む僕を見て、珍獣でも見たかのように目を細める。僕がグラスから口を離すと、彼は吐息混じりに語る。
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