盆東都、イケブクロ。
残暑と言えどもまだ蒸し暑い空気を自転車で裂いて、駆け抜ける。
近所の人々と挨拶を交わしながらスーパーのタイムセールに間に合うようにペダルを強く踏んでいく。
お盆の時期のせいか、少しだけ線香の白檀の香りが香った。
いくら頬を切る風が心地いいとはいえ、体の内部から燻られるようなねちっこい暑さに汗が額に滲み、頬を通って落ちる。
スーパーに着くとカバンからペットボトルを取り出して熱中症にならないように家で作っていたスポーツドリンクで喉を潤す。
体の芯がすぅっと冷えていくような感覚にひとつ息を吐いてキャップをきゅっと強く締める。
タイムセールで買うもののメモを取り出し、いざ戦場へ。
予定されていた時間よりは少し早いものの既に主夫たちはセールの商品の場所に集まっていて、小さく眉を下げながら苦笑を零す。
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