「うんうん、似合ってるんじゃねぇの?髪型はともかく服の方は完璧なスマートさだぜ」
「馬子にも衣装ってやつだな。あーいや、確かお前ボンボンだったからダセェ格好してた坊ちゃんが本来の衣装に戻ったってことか」
「テメェらな…奢った飯代返してもらうぞ特にリル…」
年の瀬も迫る12月の半ばの放課後。バズビー、アスキン、リルトットの三人は、高校生にとっては少し背伸びした価格帯のアパレルブランドにいた。
普段は胸元が開いていたり無骨なベルトやレザーだったりというヤンキーじみたファッションの多いバズビーだが、今試着しているのは襟付きのシャツにジャケットのセットアップという大きく印象の異なるものだ。
「見えない裏地の部分に真のオシャレは宿るもんだぜ!」と親指を立てたアスキンは、知り合いの中で一番この手のセンスがある男のため見立ててもらったのだった。リルトットは暇だったかつ、バズビーがフォーマルな服を買いに来るに至った「ある経緯」が面白そうなので着いてきただけである。
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