ユーゴー・イン・ワンダーランド「困るなぁ〜。ボク、女の子連れてきてって言うたはずなんやけど」
「あァ!?人間のオスメスの区別なんざつくかよ!」
ニヤニヤ笑う猫と目付きの悪い兎の言い争いに挟まれて、小さなユーグラムはすっかり困っていました。
ユーグラムは伯父さんの言い付けで、森で兎を捕まえようとしていたのです。ぴょんぴょん跳ねる二羽を見つけて追いかけていると穴に落ちてしまい、怖そうなお兄さんの姿に変わった兎たちに逆に捕まってしまったのでした。
「だがこの人間は指示された通りの特徴だ。金髪、青い目、青と白の服を着ているだろう。それに妙な力も感じる」
懐中時計を持った兎が不満そうに言いました。確かにユーグラムは膝丈までの青のエプロンドレスに白いタイツを履いて、頭にはカチューシャを付けています。頬は滑らかでまろく、伸びた金髪はふわふわと柔らかくて、大きな瞳を囲む同じ色の睫毛は夢見るように厚かったので、少女と勘違いされても仕方のないことでした。
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