そうして僕は墓穴を掘ったそうして僕は墓穴を掘った
ちゅ、ちゅっ、と小さく甘いリップ音が額や頬に降り注ぐ。肩に置かれた手に逆らわず、カドックは男のベッドへ仰向けに倒れ込んだ。
「カドック、いい?」
「ん……」
すり、と指先が唇を撫でる。付き合った当初は自分がボトムな事に多少の不満をおぼえていたが、今ではすっかり立香に与えられる重くて深い快楽の虜になっていた。頷く代わりに自ら彼の首に腕を回す。
「電気……消せ」
「はいはい」
一言目にはそれか、と眉を下げて苦笑する立香の顔が暗闇に沈む。いくら鍛えても筋肉の付かない貧相な身体。腹にはリンボにやられた時の醜い傷跡が残っている。しかも行為中は酷い顔をしている自覚だってあった。
こんなもの見たって何も嬉しくないだろうに。暗闇に落ちていく部屋の中で少し残念そうな顔の男から目を逸らした。
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