他の誰にも邪魔されずに、いいものを独り占めできるのは実に良い気分だ。
上機嫌で船から少し身を乗り出す。ひんやりとした夜風がマホロアの頬を撫ぜて通り過ぎ、続いて彼のマントを靡かせた。
ポップスターはプププランドの夜空を、空色の天駆ける船───ローアがゆったりと泳いでいる。
大洋を揺蕩う鯨のようなローアは、陽が高く昇っていればよく目立ったはずだ。しかし皆が寝静まった真夜中には、雄大な影に気付く者はひとりとしていない。このために夜半にわざわざ船を出して、高く高く飛ばせたというものである。
ときおり眠い目をこすっているマホロアをこうも突き動かしたのは、ポップスターから臨む満天の星空の美しさであった。多くの世界を旅してきて、同じ数だけの夜空を見て回ったマホロアは、ポップスターのそれが格別であることを身をもって知っている。
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