「本気で何かに取り組む人間を補い、進歩させ、見届けるのが喜びなんだ。だが、自分のことになると本気というのがよくわからなくてね」
ここのシーンが大好きなんだけどずっと気になっていたのが、「調達屋の仕事はそれに該当しないのか?」という点。作業員の人から飴をもらうくらいには、彼は仕事に対して真摯だったし、誇りを持っていると思っていたから。
でも、これまでの発言を踏まえると…とぐるぐる考えたのでまとめて吐き出し。
いつかできなくなる生業だから?
彼が調達している物の一部は、自身が乗っていた宇宙船のパーツに細工を施してできたもの。船がなくなれば彼が調達する物の優位性は下がってくる。有限であることを知っていたから?…と、27話で思ったりもしたけれど、32話を踏まえると。
自分の喜びのために生きることを、自分に許していない?
「やりたいこと」=「惑星ブレキを取り戻す」
「今行かなければ、私には生きる価値がない」
惑星ブレキを取り戻すことも、ディスレースを倒すことも、たった1人生き残った自分が同胞に報いるために果たさなくてはならないこと。
自分のために生きることなんてできない。その自縛が、「本気というのがよく分からない」につながっていたんだろうか。この世界で生きる意味を見出そうとする度に、過去に苛まれていたのだろうか。
もしくはその逆で、誰かの役に立つことで自分が生きていていい理由を作りたくて、でもその行為が、慰めでしかないことも自覚していたのだろうか。本当に自分がやりたいこと・生きる理由は、到底叶いそうもない遠いものだったから。
そう思うと、「2人の夢を届けることが自分の夢」だと言った未来や「夢を守ることが自分の、ブンブンジャーの使命」だと言った錠の存在ってかなり大きい。他人の夢も丸ごと抱えて自分の夢だと胸を張って言える彼らは一層美しく見えたんじゃないか。
だから彼らが「夢中になっている」届け屋の仕事を引き受けることで、彼らを理解し、自分の生きる道も模索しようとしていたのかな。
でもディスレースを再び目にして、自分の中で荒れ狂う感情は、夢に向かって走る彼らとは真逆なものだと気付かされて。ブンドリオの夢も自分の夢も叶えようとしている彼らが大好きだから、自分がその障害になることはもう許せなくなってしまって。
「彼らと私は違う」は、一緒にいていい「違い」ではなかった。
その上で来週の予告を見ると、調さんが「夢や希望は誰にも奪えない」と言っていて。9話で錠が「夢は生きる力ですもんね」と言っていて……
「私には生きる価値がない」と言った人が、自分のために譲れない夢を、生きる力を、「自分のハンドル」だと掴み取る話になるんだとしたら。バクアゲだなぁ…そんなん絶対に泣いてしまうなぁ…と震えています。