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    mkz46

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    書き散らし

    牛バネちゃんのちゅーの話その男は自分に向けられる好意に対して、敏感であった。悪魔超人のエースとして戦いに身を置く男、バッファローマン。しかし、彼の一族は幼い頃に滅び、身寄りもなく孤独な少年時代を送ったこともあり、本質的には寂しがりで。男でも女でも、どちらの役割にしろ、すぐに繋がり、交わり、そのことに疑問も持たない人生を送ってきていた。

    しかし、今回それを感じた相手は同じ場所で寝泊まりをする、同じく悪魔超人で。タッグパートナーを組む相手で。鋼鉄の身体を持つ、年齢もわからない、ただその体の小ささと青臭い言動から小僧と教官には呼ばれているような、バネの化身のオモチャ超人、スプリングマンであった。強さを求め、寂しい時を長く過ごしてきたという意味では、バッファローと同じであった。長くいるうちに、なんとなく、二人はお互いの事を知りたいと思うようになり、恋愛とも友情ともつかぬような感情を抱くようになった。

    しかし、スプリングマンの身体の大部分は固い金属を含む無機物で構成され、唇もなければ、いわゆる下半身も……愛を育むためのパーツは何一つ揃ってないと言っても過言ではなかった。悪魔超人は、人間からは遠い姿を持つものが多く、社会からはみ出していることもままあることで。それ自体はこの魔界であれば問題にはならないのだが、出会うなり手を出すのが当たり前であったこの伊達男には試練であった。

    一応そういう関係であると言う契約は整っていた。二人はなんとなく同じ布団に入るようになり、つかの間の休息時間を共に過ごすようになっていた。スプリングマンがバッファローマンに付き合い、布団で寝るようになってからは、今日の鍛練の反省などをしながらベッドで語り合うのが日課であった。ツンケンしていても、この時間はすこし表情がゆるむバネ超人。強くて優しい目の前の男を独占出来る悦びからであった。バッファローマンは大きな手でスプリングマンの頬を撫でる。金属で出来てるのに、ぷにぷにと変わる表情。今までバッファローマンが付き合った連中とは違う、そういう仲になったからといって、前提はあくまで同期。生殖機能もなさそうなスプリングマンに自分の性欲を押し付けるのは……人生で初めて攻めあぐねるという感覚を知ったバッファローマン。小さな手が自分の手に触れる。その隙にそっと、言葉を挟み込んだ。

    「なあ、キスしてもいい?」

    百戦錬磨の伊達男とは思えない、ウブな少年のような一言を受けて、スプリングマンは小さな黒目をパチクリさせた。

    「……バカじゃねえの……」

    「嫌か?」

    たまらず吹き出すスプリングマン。わかってはいた。この男が、自分を大切に扱ってくれているんだと言うことが。それでも合法磊落を売りにしている男が童貞のような挙動をしていることがおかしくなってしまった。

    「そういう関係……ならするんだろ?人間とか、それに準じた超人は」

    「……オモチャ超人は?」

    そう問いながら頬に優しく当てられる唇の温度が、スプリングマンの冷たい身体にじわりと伝わる。

    「言わせんなよ……ただな、オレだって何千年生きてるわけじゃねえ、そんなに無知じゃねーから」

    少し照れながら絞り出された言葉、バッファローマンは思わず相棒を抱きしめた。

    「気持ち良くなろうぜ?一緒に」

    その夜のこと、今までの彼のしてきた経験に比べたら、ままごとのようなやりとりではあった。しかしそこには、二人の間だけにある、恋慕、友情、信頼、葛藤の混じり合った、性欲よりタチの悪い、濃く深い感情が、生々しい男の身体と、そんなものとはそれまで無縁のオモチャの身体の間で交わされたのだった。
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