Signもう殆ど人がいなくなったロッカールームの小さな机で部誌を書いているとどこからか「宮城ィ」ともうすっかり聞き慣れてしまったデカい声がする。
「なんすか?!」とこちらもデカい声で応じると「おー、今日一緒帰らね?」と毎回こっちがびっくりするくらいの素直な誘い方をするのが三井寿だ。
最初はその理由がよくわからなかった。自分が部長になったことでなにか言いたいことがあるとかそういうやつ?と若干の警戒心を持って精神的に距離を取りながら帰った。でも三井にはそんなものまったくなく、ただ部活終わりの帰り道をどうでもいいような話をしたり、それこそバスケットの話なんかをしたいだけだった。
最初は本当にポツポツとした会話量だった。家に着いてドアを閉め「あの人なにが面白えんだ?」っていうくらいの。そのうち誘わなくなるだろう、と思っていた。しかし三井はまったく気にしていないようで当たり前のように隣を歩いた。
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