引越しすることが決まったと知らせた櫂くんが、どこでも生きていけるさと悠々と語る一方で、ショックと寂しさを隠しきれないアイチ。
そんな最中、櫂くんの目の前で事故が起き、櫂くんの家族が怪我をした。翌日、2人はよく行く公園に。櫂くんの家族の退院は遠い話ではなく、引っ越しも変わらない...そんな話をしていると、公園や街の様子がおかしいことに気がつく。
ひつえの町であってひつえの町ではない。
どこかヘンテコなひつえの町を渡り歩くうちに、櫂くんは、ヘンテコなひつえの町の数々は、アイチがイメージして作っているものということに気がつく。俺たちの本当のひつえに帰ろう?と諭すが、転送のおまじないをして飛ばされた次のひつえの町は、またもやヘンテコ。
実は、アイチは知っていた。現実のひつえの町では、櫂くんの家族が亡くなっていることに。櫂くんに知って欲しくなくて、遠くの街へ行って欲しくなくて、ずっとヘンテコなひつえへ櫂くんを連れ出していたのだった。アイディアが尽きて、何もない空間で打ちひしがれるアイチ。再度、帰ろうという櫂くん。
転送のおまじないを唱えている時、背中越しに櫂くんの声がアイチの耳に届く。ありがとうな、アイチ。
櫂くんはヘンテコなひつえを渡り歩くうち、途中で気づいてしまった。現実に何があるのか。
このまま帰っちゃ駄目だ!
ひつえに似た街じゃない。現実のひつえを変えるイメージを!
........
櫂くんの家族がこちらに手を振っている。
櫂くんは笑って手を振りかえしてる。
そんな様子を僕は横で見ている。
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