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    mizuyasorasora

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    mizuyasorasora

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    蘇州探索&オープニング画面で「ああこの世界は一度燃えたんだな」と思って衝動的に書いた水都百景録二次創作です。その後の探索で絵巻の中で放火が相次いだことが発覚しましたが自分の感情の供養にupします。一度目の世界の焼失における李白と杜甫の消滅。
    火事の描写とファンタジーレベルですが人体が燃える描写があります。

    #水都百景録
    suiduHundredViews

    天の裂け目より来たる火がその大火は比喩ではなく天から降ってきたとしかいいようのないものだった。
     江南では珍しく晴れ渡った空に雨の代わりに降ってきた火は、脈絡も何もなく建物や人間に燃え移り、人々を阿鼻叫喚に陥れた。
     消火部隊は間に合わず、水にさえ火が燃え広がっていく。
     自分の住んでいる住宅の同居人を被害が少ないらしい避難所に移動させた杜甫は、もつれる足を叱咤しながら全力で走っていた。
     手遅れでなければいい、そう思いながら疾走していたその最中、
    「おお子美殿、そんなに急いでどこにいく?」
     燻る炎の点在する繁華街の中、探していた当の人物からかけられたいつも通りの声に驚いて蹴躓いたのだった。
     途端にあはははは、と笑いながら差し伸べられた手に、こちらの気も知らないで、とキッと睨みつける。
    「江南中が火事のこの時に何を呑気に酒など呑んで。皆避難している、私たちも一緒に行こう。」
     言われた李白はちらりと手をかりずに立ち上がる杜甫に目をやると、構わずまたぐびりとやり始めた。
    「ここももう終いか。」
     呟く声に、この男何を、そう思いながら再び逃げようと声をかけようとして、杜甫は悲鳴をあげた。
    「太白殿、燃えてるじゃないか!!袖!袖!」
     李白はああ、と己の袖の袂を見て安心させるように言った。
    「そんな顔するなよ。子美殿、何もないところに還るだけだ。またいつかどこかで会えるとも。」
     言っていることがさっぱりわからない、そう返答する代わりに杜甫は叫んでいた。
    「いまここにいる君の話をしているんだ‼︎」
    「子美殿、裾。」
     いまいちこちらの話を理解しているのかいないのかわからないその声に従って己の服の裾を見れば、今李白の袖を舐めつくしつつある炎が自分の足元を蝕んでいた。必死に裾を踏みつけて消そうとしていると隣から
    「子美殿、どうやらこの酒を俺は飲み干せないらしい、残りは子美殿にやるから貰ってくれないか」
     と酒壺を差し出される。火は首筋にその手を伸ばしつつある。妙なことに焦げた匂いや燃え滓はなく、本当に炎の先がきれいに消失しているのだった。
     自分の右足の膝から下も炎に巻かれているが、不思議なことに熱くはない。
    「貰ったら一緒に来てくれるか。」
    「子美殿も大概しつこいな。行く行く、行くからそら、ぐいっといってくれ。」
     残った腕から酒壺を受けとる。感触からみるにもう底の方に少し残っているだけだ。炎は自分の腰にまでまわっていた。
    「俺の酒をやるってのになんだそのツラは、ほら顔拭いて。」
    「うるさい、拭くか飲むかどっちかにさせろ。」
     そう応える声にさえ嗚咽が混じる。頬を濡らす滂沱の涙は、炎を止める何の力も持たない。
    「子美殿、」
    「なんだ」
    再見またな
     炎の向こうから声がする。その言葉にまた、と応えて酒壺を傾ける。
     炎がまた勢いをつけて逆巻き、杜甫の体も飲み込まれていく。
     酒が喉を通ることはなかった。
     あたりにはただ焼け野原が広がっている。
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    mizuyasorasora

    DONE蘇州探索&オープニング画面で「ああこの世界は一度燃えたんだな」と思って衝動的に書いた水都百景録二次創作です。その後の探索で絵巻の中で放火が相次いだことが発覚しましたが自分の感情の供養にupします。一度目の世界の焼失における李白と杜甫の消滅。
    火事の描写とファンタジーレベルですが人体が燃える描写があります。
    天の裂け目より来たる火がその大火は比喩ではなく天から降ってきたとしかいいようのないものだった。
     江南では珍しく晴れ渡った空に雨の代わりに降ってきた火は、脈絡も何もなく建物や人間に燃え移り、人々を阿鼻叫喚に陥れた。
     消火部隊は間に合わず、水にさえ火が燃え広がっていく。
     自分の住んでいる住宅の同居人を被害が少ないらしい避難所に移動させた杜甫は、もつれる足を叱咤しながら全力で走っていた。
     手遅れでなければいい、そう思いながら疾走していたその最中、
    「おお子美殿、そんなに急いでどこにいく?」
     燻る炎の点在する繁華街の中、探していた当の人物からかけられたいつも通りの声に驚いて蹴躓いたのだった。
     途端にあはははは、と笑いながら差し伸べられた手に、こちらの気も知らないで、とキッと睨みつける。
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    mizuyasorasora

    DONE水都百景録二次創作、李杜と春花、聡、強です。
    酔っぱらい詩人コンビと商魂逞しい春花を書きたいなと思ったら想定したより長くなった。
    明代の江南にこのタイプの桜あるか?ということと作中に登場するお酒について実際は他の言い方してるのは知ってるのですが来たばっかりで名称が確定してないんだということでひとつ…
    9/7 プライベッター開発者に関する話を見てイヤになったのでこちらに移行します。
    春のうららの「こんなところで寝ないでくれ、太白殿!」
     念願の江南全体をつなぐ大運河が全面開通したその日、宵闇の中の提灯行列、そこここで炸裂する祝いの爆竹の中、その喧騒から少し外れた場所で張りあげる声一つ。爛漫と咲き誇る桜の大木の下、二人の酔っぱらいが押し問答を繰り広げている。
    「春花のれすとらんに行くんだろう、もうあの限定酒を出してる店はあそこしかないんだから。」
     埒があかぬと脇に手をさし込み引き摺ってでも連れていこうとするが、こちらも酔いの回った身の悲しさ、眼前の酔漢はびくともしない。諦めて地面にへたり込むと、ごろりと樹下に身を横たえた大虎から忍び笑いが漏れいでた。
    「杜工部殿も存外だらしのない。」
    「地べたに寝転がってる御仁には負けるよ。全くあちこち花だらけにして。」
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