どうかな。今日の服、頑張りすぎていないかな。可愛いかな。
エレベーターの鏡に映し出された自分の姿を眺め、髪型が崩れていないか、服が皺になっていないか、疲れた顔をしていないか、軽くチェックをする。
大丈夫。恐らく、問題は無かった。
三階で降り、明かりのついた彼の部屋を確認してから、最後に鞄の中身も最終確認をする。今朝、出勤前に気合いを入れて作ったランチボックスの中身は、ギュウギュウに詰め込んでよく冷やしておいたからか、少しも崩れてはいなかった。完璧だ。小さくガッツポーズをして時計を確認すると、丁度夕飯時だった。タイミングも悪くない。大丈夫。大丈夫。万事、問題ない。
心の中で少し自分を鼓舞して、わずかに緊張しながらチャイムを押す。暫くすると、ドアは開かれないまま、ガチャリとインターホンが繋がれた。
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